インクの混合を認めていないパイロットのインクを自己責任でミックス
■インクの色を もう少し黒くしたい
ノートの本文を書くための万年筆インクは、パイロット「ブルーブラック」を使っている。パイロットのインクは、インクの出(インクフロー)が良く、コストも安いので、大量に書くノート用として大変重宝している。
色については、単独で使うには万年筆らしい色で気に入っている。しかし、3D筆記術などのために色分けして使うには、「ブルーブラック」と言いながら少し青が強いので、他の色とコントラストを付けるために もう少し黒い色にしたい。パイロットのブラックを混ぜて黒くできないだろうか?
例えば、インクの明度と彩度の数値やグラフが載っている『趣味の文具箱』vol.14を見てみると、パイロット ブルーブラックは、セーラー ブルーと明度、彩度が近かった。(ちなみにセーラー ブルーブラックは、かなりブラックに近い色)
■インクを混ぜると危険?
セーラーのジェントルインクやプラチナのミックスフリーは、インクの混合を認めている。しかし、パイロットを含めて一般的にはメーカーから混合を許されていない。そこで、自己責任でインクを混ぜられるか考えてみた。
①インクを混ぜると何が危険か
・色素の分離や固化
色素が分離して色が不均一になったり、固化してペン芯の溝を詰まらせることが考えられる。インクだけでなく万年筆にダメージが行くペン芯の詰まりが一番危険だ。特に これに注意したい。
・溶媒の組成の変化による にじみやすさ などの特性の劣化
にじみやすくなったり、インクフローが悪くなったり、耐水性が劣化する可能性が考えられる。少量ずつ試すなら、インクが使えなくなってもリスクは小さい。
②色素の性質が向いているか
・顔料インクか染料インクか
顔料は水に溶けない色素なので、インクを混合して溶媒の組成が変わると固化してペン芯を詰まらせる危険性がある。通称「古典インク」と言われる鉄分を含むインクも同様だ。
パイロットのインクは、染料を使っているので水に溶けやすく、顔料などに比べるとリスクは小さそうだ。
・ペーパークロマトグラフィ分析
どんな色素が使われているかは、ペーパークロマトグラフィーで分析すると傾向が分かる。パイロットのインクは、色々な人が分析して、ブログにアップしている。それらを見ると、パイロットのブルーブラックとブラックは、色素の組成が近そうだ。
③溶媒の性質が向いているか
・酸性インクかアルカリ性インクか
酸性とアルカリ性が混ざるとマズそうだ。『趣味の文具箱』vol.11には、インクのpHの数値やグラフが載っている。それを見てみると、パイロットのブルーブラックとブラックは、両方とも弱アルカリ性なので、危険性は低そうだ。(pHの値は違うので影響はあるだろうが、自己責任なら許せると判断)
④万年筆の特性が向いているか
・ペン先・ペン芯を手軽に分解できるか
もしペン先・ペン芯が手軽に分解できる万年筆ならば、詰まりかけの時点で すぐに洗浄できるので比較的リスクは小さい。
仕事ノート用の万年筆として使っているパーカー ソネットならば、ペン先を道具を使わずパン先を抜けるので手軽に洗浄できる。
■ブレンドしてみた結果は
パイロットのブルーブラックとブラックならば、リスクは小さいと自己責任で判断して、ブレンドしてみた。(思い付いたら試してみるのが「ブンクエ」)
ブレンドした割合は、ブルーブラックとブラックで大体5~10:1。(割合は厳密ではなく、ノートに書いた色を見て気に入るよう時々調整している)
①色合い
ブルーブラックから色相や彩度があまり変わらず、明度が低くなったような色合い。期待した通りの色合いで満足。色素が分離したりすることも見られない。
②にじみやすさ
ブレンドしても特に影響なし。もともとパイロットのインクは比較的にじみやすく、ノートの紙質で対策していた。
③インクフロー
ブレンドしても特に影響なし。もともとパイロットのインクはインクフローが良い。
④耐水性
ブレンドしても特に影響なし。もともとパイロットのブルーブラックとブラックは、染料インクながら乾くと耐水性が高かった。
(※たまたま自分の場合の話なので結果を保証しない。試すときは自己責任で)
■まとめ
人に おすすめ できないが、自己責任のブレンドで好きなインクで好きな色のカスタマイズが自由になった。ノートの本文用のインクとして、もう言うことなしだ。(にじみやすさはノートを選ぶが許す)
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