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人間工学的なグリップのボールペン (ファーバーカステル スクリベーロ)

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人間工学的グリップのボールペンは持ちやすいのか

ファーバーカステルの面白い形のボールペン

  前回、木製ボールペンを人間工学的なグリップに自作で改造したことを紹介した。

  自作した効果を製品の人間工学的グリップと比較してみたい。比較対象として選んだのは、ペンの形状が面白いファーバーカステルのボールペンだ。

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  ファーバーカステル の「スクリベーロ」(Scribero)は、面白い形状のペンだ。ペンの前後が絞り込まれた前後対称っぽい形で、そのうちグリップで指がかかるところだけ3ヶ所凹んでいる。クリップも付いてないので、ペンというよりオブジェっぽく見える。

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  ファーバーカステルの「エモーション」も前後が絞り込まれた前後対称っぽい形状だ。エモーションは、スクリベーロよりも全体がなだらかで前後が細く絞り込まれた形状だ。こちらは、クリップが付いているので、ペンらしく見える。ファーバーカステルは、このような前後対称な形状が好きなのだろうか。使う人を選ぶかもしれないが、他のペンとの差別化という点では効果的だと思う。

■形状によるグリップのしやすさを比較

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①紡錘形(エモーション)

  ペン全体が紡錘形で、一般的な円筒や角柱の軸形状に比べて、ペンをやや傾けて親指や人差し指で軸を引くように書くのはグリップに指がかかって力を入れやすい。このとき中指には、あまり力が入らない。中指を使おうとすると、指全体で握る力を強くすることになる。

  逆に、ペンを立て気味にして筆圧かけるような書き方だと、先細りのグリップで力を入れにくい。だから、ペン先のボールを紙に押し当てて書く油性ボールペンには、あまり向かないと思う。

②人間工学的グリップ 製品(スクリベーロ)

  グリップは、3ヶ所大きく凹んでいて、そこに指を置くよう誘導される。凹みが深いので、持った指同士が接近して、細軸のペンを持ったような位置関係。

  凹みに指を置くと、ペンを立てようが寝かそうが、押そうが引こうが、全ての指で しっかり力を入れられる。ローレット加工のような軸の摩擦で指の表面が滑らないペンとは違って、指の芯の方から力を入れやすいのは面白い。

  しかし、しばらく書いていると、どうも指が むずかゆい感じがしてくる。軸の太さの見た目に反して指の位置が近いので力加減が落ち着かないのが1つの要因。そして、中指に凹みの角が当たるのが もう1つの要因。自分の場合は、中指がペンの真下ではなく、やや斜めに当たるので、そうなってしまう。結局、自分の持ち方に合わなかった。

③人間工学的グリップ 自作(木製ボールペン)

  元々の形状は①エモーションを大きく拡大したような形状だった。そのペンの下側をゆるく凹ませたのが、自作改造したところ。だから、書くときの力の入れやすさは、基本的に①と同様で、ペンを寝かせ気味にした引き書きに向いている。ただし、下側が凹んでいるので、中指で押すのも握る力を あまり増やさないでも済むので、比較的楽な力で書ける。それが、グリップを改造した効果。自分の場合、万年筆を よく使っていて、ペンを寝かせ気味で筆圧かけずに書くことが多いので、このようなグリップのボールペンが合っている。

■スクリベーロの特性

  スクリベーロは、樹脂素材だが、グリップ部分は薄いエラストマーのような少し柔らかい素材で おおわれていて摩擦力が大きい。このペンのデザインは、どれほどグリップ力をアップしたいのだろうか。

①寸法

  寸法は全長114mm、直径17.0mm。短めで手に納まる感じ。外側は太めだが、凹みの中は細い。

②重量・重心

  重量は15g。かなり軽いので動かしやすい。

  重心は先端から約58mm。ほぼ中央で、クセがない。

③機能

  ペン先は軸の後ろのツマミを回して繰り出し。回転させると、はっきりしたクリック感がある。そのツマミには、浅い凹みがあって、デザインの統一感がある。

  クリップは付いていないが、大きな凹みで転がりにくい形状。

④書き味

  インクはゲルなので、それほど 筆圧を かけなくても書ける。だから、力を入れやすいグリップ形状が もったいなく感じる。どうせなら、ゲルインクではなく、油性かシャープペンシルにした方が、このグリップ形状を活かせるのでは ないだろうか。

■エモーションの特性

  ファーバーカステルのエモーションは、色々な材質で作られているが、ここでは全体が樹脂製で少しメタリックな塗装のもの。

①寸法

  寸法は全長123mm、直径14.7mm。やや太目だが、指や指の またに当たる ところは細い。

②重量・重心

  重量は17g。かなり軽いので動かしやすい。

  重心は先端から約66mm。ほぼ中央で、クセがない。

③機能

  ペン先は軸の後ろのツマミを回して繰り出し。回転させると、回転角は やや大きいが、クリック感が おだやかで滑らかな感触。そのツマミは、線状に膨らんでいて、回すときのグリップになる。

  クリップは、後ろを押すと前が上がるロッカー機構付きで、色々なものに はさみやすくて機能的。ゆるやかなカーブを描いた形状も全体のデザインに合っている。

④書き味

  インクは低粘度でない油性なので、 筆圧を かけないと うまく書けない。ところが、こちらは筆圧をかけにくいグリップ形状だ。どういうことだろうか。

  いっそ、スクリベーロのゲルインクの芯(リフィル)と交換した方が、お互いのグリップ形状を活かせるのでは と思って交換してみたら、しっくりくる感じだ。

■まとめ

  自作改造した人間工学的グリップのボールペンと既製品を比べたら、当たり前かもしれないが、自分でカスタマイズした方が自分の持ち方に合っていた。そう思うと、自分専用でグリップ形状をカスタマイズできるペンが あると面白いのでは ないだろうか。

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