指の延長みたいに自由自在に動かして応答を楽しめる万年筆
■まとめ
・モンブラン「22」はヴィンテージらしい細身で小柄な万年筆。そのサイズ、軽量さ、手に なじむ形状によって取り回しが最高。またソフトタッチだがコシのあるペン先は筆圧によって様々な手応えを楽しめる。
・おすすめの使い方は机上でのアイデア出し。ペンを意識せず思い通りに動かして思いつきを素早く書き記し、筆圧のかけ具合で思いの強弱を表現できる。
・自分の場合は万年筆画を描くのに使っている。明暗法で細かいハッチングをするのに、線の強弱をコントロールしやすいソフトタッチのペン先と取り回しやすい軽量コンパクトな軸がピッタリだ。
■製品情報
モンブラン「22」は1960年代に販売。当時のモンブランでは比較的 普及価格帯の万年筆。
■レビュー
①外観
・形状
オーソドックスな形状。軸とキャップの両端が平らで、わずかに両端側が細くなったシンプルな紡錘型。
・色彩、質感
古典的な万年筆の配色。通称「仏壇カラー」。ツヤのあるブラックの軸とキャップ、柔らかい輝きのゴールドの金具。最近の小物類では見ない配色なので、持ち物の色を合わせにくい。△
天冠と尻軸にブランドのマーク、白い星型の「ホワイトスター」。ポケットに挿しても、手に持っても ブランドを主張する。
・寸法
全長 129mm、直径12mm(胴軸)、13mm(キャップ) 。 特にキャップを挿さず軸だけ持つと ほとんど手に収まるサイズで、手と一体化する感じ。
・重量
14g (全体)、9g(軸)。 特にキャップを挿さずに軸だけ持つと すごく軽くて、書くときに重さを感じない。
②書き味
・グリップ
何気なくグリップが良い。なだらかに先細りした首軸はペンを動かしたときに力が かかりやすい形状。滑らかな感触の樹脂は、指がフィットして滑らない。
・取り回し
コンパクトサイズ、軽量(特にキャップなしの場合)、グリップ良しで、取り回しやすさは最高。◎
形状が なだらかで、軽くて重心も気にならないので、持ち方は割と自由だ。
・筆記感
ソフトタッチなのに安定して書ける。筆圧の大きさによって様々な書き方が できて面白い。軽い筆圧だとソフトタッチでペン先の しなりの大きさを楽しめる。筆圧が強まるとコシがあって安定して筆記できる。◎
・描線
筆圧の割に線の太さが変わらないと言われる。それでもペン先の しなりが比較的 大きいので、線の強弱を十分表現できる。(字幅やペン先調整にも よるだろうが)
③機能
・ペン先、ペン芯
ペン先の一部が首軸で おおわれたセミフーデッドニブ。
ペン先は平坦な形状なので割と しなりやすいが、サイズが小さいので非線形的に弾力が強まる感じ。
・キャップ
引き抜き式(バネカツラ式)でラッチなどもないので、軽くスムースに音を立てず開閉できる。バネカツラの弾力だけだが、抜け落ちやすい感じはしない。
・クリップ
細いながら しっかり弾力があるクリップ。しかし古いものなので力をかけると 天冠が割れそうな気がして、あまり何かを はさんだり したくない。
・インク
尻軸を回してインク吸入。古いものなので回しすぎて壊さないよう、ゆっくり回している。
軸の中央の透明なインク窓はカットガラスのような細工が されているので、キレイだが、想像したよりインク残量が見やすくない。
④その他使い勝手
・携帯性
古い樹脂の耐久性が心配なので、クリップに力がかかったり、落としたりする可能性のある携帯は なるべく しない方が良いかもしれない。
・保守性
ペン先の乾きやすさは悪くない。普通に使って、洗浄すれば大丈夫そう。
ニブが首軸に埋まっているのでペン先調整は面倒。△
・耐久性
古いものなので首軸とか天冠などの樹脂が割れやすい らしい。分解整備なども なるべくしない方が良さそう。(自分は注意して使っているの割れていないが) △
⑤総合評価
・特徴
取り回しの良さと筆圧によるコントロールの しやすさで自在に書ける。◎
古いものだけあって樹脂の割れやすさに注意。ハードに使うのは気が引ける。△
・適した使い方
あまり持ち歩いたりせず、思い通りにペンを素早く動かしたり、ペン先の しなりを楽しみながら書くのに向いている。
■注記
※このレビューは あくまで個人的意見
※特に目立つ点について記号でマーキング。◎は長所、△は短所
※数値は自分で測った値なので、仕様とは違うかもしれない
※ペンは 調整、インク、芯、紙等との関係により書き味が変わるので要注意
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