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文具クエスト (ブンクエ)

スマート &シックな文房具を求めて試行錯誤

万年筆は絵も描ける『楽しい万年筆画入門』(おすすめ本)

ブンクエ

万年筆画に限らず西洋絵画手法の基礎の要点が学べる入門書

■入門書で基礎の基礎を学習

  新型コロナ対策で外出することが減ったので、家の中で できることとして、万年筆で絵を描けないか と考えた。先ずは入門書を読んでトライしてみた。(実は昔やろうとして中途半端に終わっていたので、ちゃんと本を読んで再挑戦)

  画家の古山浩一氏の著作『楽しい万年筆画入門』は、絵画向きの万年筆などの道具の紹介から始まって、西洋絵画技法に基づく明暗の つけ方や配色の仕方などの絵画手法の基礎のポイントが学べる入門書。この絵画手法は万年筆画に限らず使える。

  調べてみると、万年筆で絵を描いている人は意外と少ない。古山氏は その第1人者。

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■絵画向きの万年筆

  この本で おすすめされている万年筆は、セーラー「ふでDEまんねん」。この万年筆は、筆記角によって多彩な線幅を書けるのが特徴だ。寝かせば極太、立てれば細、裏返せば極細。

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  面白そうだと思って、自分で使ってみたら実に難しい。筆記角によって多彩な線を書けるということは、筆記角を使いこなせないと思うような線を書けない ということ。自分の場合は、手首を固定した書き方を普段していないので、安定した線すら書けない。これを使いこなすには書き方の基本から直す必要が ありそうだ。先は遠い。

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  ということで、先ずは自分が使いやすい万年筆で絵を描いてみることにした。自分なら筆記角ではなく、筆圧でコントロールしたい。

  選んだのは、モンブランのヴィンテージ万年筆「22」。22は、ペン先が柔らかく しなるウィングニブなので、筆圧によって線の幅を変えるのが やりやすい。また、軸が軽くてグリップしやすい曲面なので、ハッチングなどで素早く動かすのにも向いている。これなら自分でも描けるかも。

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■明暗で立体感を表現する手法

  多くのページ数を使って紹介しているのは、明暗だけで立体感を表現する「明暗法」。万年筆画に限らずデッサンで良く使われれる手法らしい。

  その要点は一言で表現できる。近くのものはコントラストが強い。その実践例を何種類も載せている。言うのは簡単だが、やるのは実に難しい。これは、相当の練習が必要そうだ。

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(左 明暗法、右 単純なハッチング)

  光の当たり具合による明暗と遠近感(コントラスト大小)のための明暗の両方の折り合いをつけるのに頭が混乱する。特に明るい面、暗い面、中間の面が隣接すると難しい。中間の面は、近くでは他の面とコントラストを強くして、遠くではコントラストを弱くしなければならない。どんな濃さにすれば良いか悩む。

  明暗は、細かいハッチング等で表現するのだが、これも難しい。特に明るい面が危険だ。万年筆は、くっきりと黒い線を書けるがゆえに、一筆で失敗する危険性がある。もし、明るい面に手が滑って太い線を書いてしまったら、取り返しがつかない。暗い面なら書き足して ごまかせるが。

■手軽で応用しやすい彩色方法

  彩色方法の紹介にも多くのページ数が あてられている。紹介の中心は、水彩絵の具による方法だが、色鉛筆も紹介されている。色鉛筆のうち水彩色鉛筆は、色鉛筆の線、にじんだ線、水彩絵の具のような色のにじみの3種類の組合せが面白いらしい。

  水彩絵の具は手間がかかるので、自分は水彩色鉛筆に着目した。子供たちが小学生の頃に使っていた水彩色鉛筆、ステッドラーのエルゴソフト「Aquarell」を使うことにした。そして ぺんてるみず筆」を使えば、それ1本で手軽に水彩絵の具の線をにじませることが できる。万年筆インクは、この本で おすすめのインクの1つである セーラー「極黒」。(※インクが固まらないようペン先の乾燥に注意)

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  そして、彩色できるなら、明暗法に頼り切らず、色彩遠近法でも立体感が表現できるし、色鉛筆なら重ね書きもできる。それなら、細かいハッチングで神経を使うより、気軽に絵を描けそうだ。

■まとめ

  この本は、重要な要点に絞って分かりやすく書かれているが、書かれた通り実際に やろうとすると かなり技術や練習が必要だった。本の内容をヒントに自分流の描き方で気軽に楽しんで、そのうち技術を習得できれば良い と考えるのが良さそうだ。

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