最高の万年筆、インク、紙を求める旅に終わりはあるのか
■「書く」ことの探求
作家の片岡義男氏のエッセイ『万年筆インク紙』には、幼少の頃に見たパーカーに始まり、「書く」ことを追い求める姿が つづられている。その ほとんどは、最高の書き味を もたらす万年筆、インク、紙の探求だ。歯切れの良い文章に迫力を感じる。
作家だけあって使う量が すごい。原稿を書くための万年筆モンブラン「22」だけでも30本は買ったとか、原稿用紙は1度に5万枚注文するとか。
そして、原稿ではなく草稿のメモを書こうとして新たな万年筆の探求が始まっている。書くものが変われば道具も変わるのは良くあること。メモは、原稿と違って、自由な所に自由な字の大きさで書ける。だから、好みの字がストレスなく書ける書き味を求めたようだ。
■参考というより身につまされる
国産万年筆の探求で、パイロットだけでも30本は買ったそうだ。次々と万年筆などを買っていく様子を読んでいると、自分も一緒に手に入れたような気がして うれしくなる。
そのレビュー内容は、様々な物が登場するので、色々な万年筆などを試した人ほど共感できるだろう。また、好みの万年筆の特徴については、著者の書き癖まで想像できそうなくらい詳しく書かれているので、読みごたえがある。
本の終わりには、探求の末の結果が書かれている。自分も同じような物を使っていたこともあって納得だった。(それが何かはネタバレになるので、ここでは書かないが)
ところが、あとがきには新たな紙を求めていく姿が書かれている。最高のものを求める旅に終わりはないのか。とっかえひっかえペンを試している自分にとって、身につまされる。それでも前向きに考えている著者の姿には励まされる。
■道具だけでなく字の書き方も
「書く」ことには、道具だけでなく、ペンの持ち方や書き方も含まれる。字がヘタだったのを回避するため、デザイン的に書くようにしたらしい。図形的な字ということだ。
自分の場合も、ヘタな字をキレイに書こうとして「横書きカリグラフィ」を考案したので、考え方が似ている。
■まとめ
探求し続ける姿は、すごい迫力。それでも なかなか真の答えにたどり着かないことは、試行錯誤を続けている自分にとって慰めと励ましになる。
その他 おすすめ記事は こちら
<PR>