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文具クエスト (ブンクエ)

スマート &シックな文房具を求めて試行錯誤

仕事手帳用の万年筆 パーカー「ソネット」(おすすめペン)

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手帳に挿す万年筆は1本だけ。ベストなものを選びたい。

 ■はじめに

  以前紹介したように仕事手帳に万年筆を挿して使っている。万年筆の役割は、仕事の記録を書いているノートの本文を書くこと。会議やイベントの際には、すばやく、大量に文章を書くことになるので、筆圧が低くても書ける万年筆を使うようになった。

  この仕事手帳用の万年筆は、使う頻度が高いので、なるべく用途にピッタリものを選びたい。どんな万年筆が向いているだろうか?

■仕事手帳に挿すペンの条件とは

①手帳など他の文具に合う色と形状

  以前紹介したように自分のカラーポリシーを決め、手帳も含めて文具の色をそろえて統一感を楽しんでいる。カラーポリシーの主色はブラック、副色がシルバーなので、万年筆での選択肢は多い。

  また、手帳を持ち歩いた際に いろいろな人から よく見える状態なので、シンプルでヘンに目立たない形状が良い。

②手帳や手に収まりやすい大きさ

  一般的には、手帳のペンホルダーのサイズでペンの太さやクリップの形状が制限される。

  自分の場合は、そこに自由度を持たせたくてペンホルダーを自作したので、ペンホルダーの大きさの制約はない。それでも手帳の外側へ ペンが はみ出すので、あまり大きいペンだと持ち運びでジャマになりやすい。かといって小さいペンだと、指先中心に力をかけることになるので、大量に書くとき手が疲れやすい。結局、中庸なサイズが肝心。

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③キャップを抜き挿ししやすい

  キャップが引き抜き式だと、すばやく抜き挿しできて便利。さらに抜くときの力が小さいと、スピーディに抜き挿しできて良い。もしキャップがネジ式だと、ちょっと手間が増える。自分の場合、キャップを扱う動作を省くため、キャップをペンホルダーに挿しっぱなしで軸だけ抜いて書いている。つまり、手帳に挿したままでキャップのネジを回すのは特に面倒。

  また、キャップを抜き挿しするとき音の小さい万年筆の方が、仕事手帳に向いている。パチンと大きな音を立てるのも、キチンと はまる品質の良さを示すようで気持ち良いが、打ち合わせで相手の目の前だとか静かな会議の場では、音が目立って気が引けてしまう。

④リズミカルに書ける書き味

  大量に書くには、モチベーションを維持できる書き味の良さが重要。大量に書いても疲れにくいよう、ペン先が滑らかで(筆記抵抗が小さく)、動かしやすい重量なのは当然。それだけではなく、長い時間書いていると書く動作に飽きてしまう。だから、書くことを飽きさせないような書き味の刺激が欲しい。例えば、リズミカルにペンを動かせるような弾力があるとか。

⑤割れにくい材質

  手帳を持ち歩くとすると、落としたり、押しつぶしたり、万が一のことを考えると気になる。だから、ペンは割れにくい金属製の軸の方が良い。樹脂等の軸でも そう簡単には割れないが、個人的・心理的な安心感の問題。

⑥気軽に どこでも使える使い勝手

  大量に書くのでインクは、割安なボトルインクを使いたい。一方、出張などでは、インクの補充をしやすいカートリッジインクが便利。つまり、ボトルインクを吸入できるコンバータとカートリッジの両方が使える両用式の万年筆が、仕事手帳用には向いている。

■自分が選んだペンは

  条件に合うペンを探した結果、 パーカーの「ソネット」を選んだ。

・全長 131mm (合計)、122mm (キャップなし)

・直径 12.4mm (キャップ)、11.7mm (軸)

・重量 27g (合計)、16g (キャップなし)

(※自分で測った値なので、仕様とは違うかもしれない)

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①他の文具に合う色と形状

  ソネットは多彩なバリエーションがあるが、手帳用に選んだのは、自分のカラーポリシーにピッタリのツヤありブラックの本体、シルバーの金具のモデル。マットブラックのモデルもあるが、ラッカー塗装のモデルは表面が滑らかで肌にフィットする感じで触って気持ち良いので、こちらにした。

  形状は、パーカーのアイデンティティを示す矢羽根クリップ以外、パッと見は単純でオーソドックスに思える。しかし よく見ると、さりげないディテールのデザインの良さが単調さを破っている。例えば、キャップと軸の段を なだらかに つなぐキャップリング、キャップリングを引き締めている控えめな刻印、キャップを挿す部分にかけて徐々に細くなっていくスラッとした軸形状など。手に持って見ていると上品なデザインの良さが分かってくる。

  自分が使っているのは、最新型より1世代前のモデルだが、矢羽根クリップの形状がなだらかで、刻印も控えめで、全体の上品なスタイルに よく合っていると思う。(最新型は、より角ばった形状、くっきりした刻印で、より力強いデザインへ変更されている)

②手帳や手に収まりやすい大きさ

  全長や直径は、平均的なサイズで、手帳にも手にも収まりが良い。軸の長さも短くないので、軸だけ持って書いても、窮屈さは感じない。(自分の場合は、ペン先側の首軸を持たず、後ろ側の胴軸を持って書いているが、大丈夫だった)

③キャップを抜き挿ししやすい

  キャップが引き抜き式。しかも、抜き挿しのときの力は わずか、音は かすか。実に上品で、形状デザインにマッチしていると思う。人の目の前で使っても気になることはなく、すばやく抜き挿しできてスピーディに書ける。

④リズミカルに書ける書き味

  ノートの横罫の中へ字を収めやすいよう細字を選んだが、特に引っかかるようなことは なかった。重量も、金属製ながら、軸だけで書くなら重くない。

  そして、この万年筆で1番気に入っている点は、ペン先の弾力性。以前ペン先のバネ性について紹介したが、そこでスパゲッティの「アルデンテ」に例えたのが、この万年筆のこと。ファーストタッチは柔らかいが、筆圧をかけるとコシがあるように感じる。(バネが非線形) だから、気分によってか、思わず力が入ってか、筆圧の大きさが変わるとペン先の手応えの感じが変わってくる。 筆圧が小さいとソフトな しなり具合。筆圧が大きくなると、より力強い手応え。そして筆圧をリズミカルに変えると、手応えがリズムになって、書いている手の感覚がリフレッシュされる。だから、書き味に飽きることなく長時間でも書き続けられる。

⑤割れにくい材質

  金属製なので安心感がある。

⑥気軽に どこでも使える使い勝手

  両用式で、パーカーのカートリッジは海外製にしては比較的入手しやすいので、インクは問題なし。

  しかし、この万年筆には、使い勝手の弱点が1つだけある。キャップに穴が あいていて、ペン先のインクが乾きやすい。休暇で数日使わなかったら、書き出しカスレが発生した。この穴は、おそらくISO11540で規定された窒息対策によるものと思われる。ISO11540の2014年版では、高価な万年筆には適用されなくなっているらしいので、今後は穴がなくなるのかもしれない。

  この蒸発対策のため、自分はキャップ天冠周りの穴を ふさぐようテープを丸く切って貼っている。もともとの天冠が黒いので、黒いテープならば あまり目立たない。ネットで調べてみると、コーキング剤で穴を ふさいでいる人も いるようだが、自分は そこまでの勇気はなく、後戻りできるテープにした。それでも効果は十分。数日程度では書き出しカスレが出なくなった。

■他の候補のペンは

  他に候補として考えたのは、以下の3本。

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(左 キャプレス、中 プリミエ、右 2000)

パイロット キャップレス

  以前紹介したようにジャケットの内ポケットに挿して使っている。デザイン、書き味、材質、インクの使い勝手などは、特に問題ない。気になったのは、キャップ引き抜き式ではなく、ノック式という点。内ポケットからペンを取り出して使うには、ノック式が向いていると思っている。しかし、手帳に挿している場合だと、キャップ引き抜き式に比べて、ノック式は手順が多くて不便だと思う。

  ノック式は、(1)手帳からペンを取り出し、(2)持ち替えて、(3)ノックし、(4)また持ち替えて書くので、書くまでの手順は4ステップ。手帳へ戻すときは その逆なので、往復8ステップ。一方、キャップ引き抜き式は、(1)手帳から軸だけ引き抜き、(2)持ち替えて書くので、書くまで2ステップ。 手帳へ戻すときは、その逆なので、往復4ステップ。つまり、キャップ引き抜き式だと、ノック式の半分の手順で書ける。手帳用の万年筆は、やはりキャップ引き抜き式が良い。

  ということで、内ポケ ペンとして継続使用する。

②ラミー 2000

  シックなデザインや滑らかな書き味を気に入って自宅のペントレイにおいて使っている。仕事手帳用として気になったのは、材質とインクの使い勝手。ラミー200の軸は、樹脂にネジが切ってあるため強度的に心配。また、インク吸入機構が内蔵されているため、ボトルインクからインクを入れるのには便利だが、出先でインク切れになったときはカートリッジが使えず、インク補充が ちょっと面倒。

  ということで、やはり自宅で使うことにした。

③パーカー プリミエ モノクロームエディション

  ソネットと同じパーカーのプリミエも多彩なモデルが売られているが、自分が使っているのはシックなモノクロームエディション ブラック。全体が同色のメタリックブラック、鋭角直線的な形状で、ソネットの上品で柔らかそうなデザインとは対照的な力強い良さがある。キャップ引き抜き式、両用式で、さらにオール金属製なのでソネットより良さそう。

  ところが、書き味だけが気になる。インクの出も良く、滑らかだが、ペン先が硬いので弾力を楽しむことが できない。素早く書くには、安定している硬めのペン先が向いている。(短距離走向き) 一方、長時間書くには、リズムを刻んで楽しめる しなやかな弾力の方が うれしい。(マラソン向き) それに、軸だけで持っても重さを感じるので、長時間書いていると段々と手が疲れてくる。

  ということで、結局は短時間メモ書きするような用途で使っている。

(※これらは、自分の好みの話。皆がその通りとは限らない)

■まとめ

  仕事手帳用の万年筆の条件を考えて、自分好みのペンを探してみた。その結果は、パーカーの「ソネット」ラックブラックCT。上品なデザインで使い勝手も良く、なによりリズミカルな弾力が楽しめる書き味なので、仕事手帳用の万年筆として最高に気に入っている。

  今回は、特に気に入っている万年筆の話なので、つい長々と書いてしまった。

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