この本は、文具による知的生産(情報の創造)についての古典的名著。時代が移って、多少道具は変わっても本質は有効。読むと知的生産ができそうな気がしてくる。
■なぜこの本を読んでみたか
毎日手帳やノートにあれこれ書いていたけれど、いざ何かレポートや企画書を書こうととしたとき書いたことが役に立たない。いったい何を書けば良いのか、それとも手帳やノートを変えてみようか などと悩んでいた。基本を知りたいと この本を読んでみると、霧が晴れるような思いだった。
■どんな本か
手帳、情報カード、書類整理、読書、手紙、日記、原稿書きなど さまざまな知的生産にまつわるノウハウを述べている。
著者は、民族学者で京大名誉教授の梅棹忠夫氏。野外研究の成果を整理する方法から、代表的な情報カードである京大型情報カードを考案されている。
■参考にしたポイントは
アウトプットである文章作成に関わる項目を参考に。
①発見
毎日の経験の中で面白い現象や着想を小論文としてカードに書く。
②組替
カードの組み替えで思いもよらぬ関連や新しい発見をする。カードの分類は細かくしない。
③構成
原稿をかくとき、小さな紙に単語など(論点)を書き、関連する紙を束ねて、まとまりある考え(文章)を構成する。
⇒この手順をまとめると、「発見(着想)→組替(新発見)→構成(まとまった考え)」。重要なのは、その全ての段階で、文章化・組替しやすいように情報を「単位化」すること。人の思いつきは、思考の断片。それを記録し、つなげて、まとまった考え(文章)にするには、1枚1項目で組替自由なカードが向いている。
①と②は、B6サイズの京大型情報カードで、小論文が書ける大きさ。③は、B8サイズの紙で、机の上に広げたりしやすい大きさ。
■実際に試してみると
情報カードなどの代わりに、自分で扱いやすい道具へアレンジしてみた。(調べるだけでなく、自分流に工夫するのがブンクエ)
①発見
携帯性と汎用性を重視して、システム手帳ミニ6穴サイズ。(前回紹介)
②組替
本棚や机での収納性を重視して、用紙(ルーズリーフ)が入れ替え自由なバインダーノートA5サイズ。このサイズは、京大型情報カードに近い大きさ。いうならば、情報カードならぬ「情報ノート」。ノートの内容は、①の用紙(リフィル)を貼り付けて追記したり、まとめ直したり。
③構成
ふせん(ポストイット)。全ての論点を ふせんに書くのではなく、①や②の用紙をグループ化してクリップで束ね、その束のまとめのキーワードを ふせんに書いて貼る。文章化の作業中は、それらの束と関連資料をまとめてクリアフォルダーに入れてファイリングしている。(ワーキングファイル)
■以前と比べると
以前は、システム手帳に簡単なメモを書いていただけなので、レポートなどの原稿を書く際にメモをまとめるのが大変だった。
今では、情報ノートの必要なページに すぐアクセスできるし、その文章が下書きになるので、原稿の骨子は すぐ書ける。例えば、このブログの文章は、情報ノートに書いた読書メモを元に書いている。そのためには、事前に文章を まとめる手間がかかるが、書いた分だけ頭に入りやすいので、その点でも効果的。(理解するのが重要)
■まとめ
文具によって、思考の断片を つなげて まとまった考えにできる。文章化しやすいよう単位化すると、まとまった文章が すぐ書ける。
使う文具は、書いたページを組み換えできるもの。この本に書かれていた情報カードの代わりに、バインダーノートで「情報ノート」にしても良い。
この記事で紹介したのは、この本のほんの一部なので、興味を感じた人は、実際に読んで著者の幅広い知見に触れてみては どうだろうか?
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